嗄れた声








「あ゛あ゛ぁ・・・・・・あ゛・・・、」

ゴホ と背を丸め、咳払いひとつ。
とつとつと並ぶ骨の頂が縮み、離れる。

「どうしましたか」
「・・・別に・・・」
「気になるじゃないですか」
「気になっとけばいいでしょ。眠らせてもらえない辛さを、別の意味でオマエも味わえ」

東の空は白み始めている。

「俺から睡眠時間を奪うテンゾウなんか、嫌いだね」
「・・・」
「でも、まぁそうでもないか。 ちょっとは、な」
「・・・ボクの、何が好きですか」

気恥ずかしい問いは仄暗さに溶けてもいい。
でも答えてくれたなら。

ひたり、寄り添って抱きしめた。


「何がって、ナニが、に決まってるでしょ」


それ以外に何があんのよ とまで云われた。


「・・・」
「もう寝るよ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」


さんざ啼いたあなたの照れ隠し。
しゃがれた声は、白んだ夜に蕩けて消えた。












2008/09/16

(照れ隠しだと思いたいんだ)


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