お風呂場で
「・・・ぅあっ・・・!」
「ん、イタイ?」
「何を・・・もぅ・・・やめてください・・・」
「やぁだよ」
「・・・」
「ホラこっちも」
「あっ・・・! 何、す・・・ッ痛っ」
庇って覆った片方の手首を掴むが早いが、ひるんだ隙を狙って力で捻り上げられ、身体ごと壁へと押し付けられた。
背にしたタイルはひんやりと体温を奪い、無情にも僕を捕食者の前へと押し返す。
「ね、思いっきりやりたい・・・いい?」
「な・・ そ、な、無理です」
「目、閉じンなよ・・・」
「無理ですって・・・」
「んじゃ、あとでオマエも俺に好きなようにやっていいって云ったら?」
「・・・別に、僕は、そんな子どもみたいな真似したくありません」
「あ。バカだねぇ・・・オマエ」
いくら認めたヤツとはいえ、後輩にこんなことされてたまるかよ。
軽く嘯きつつ、僕の耳介へと押し込んで囁いた。
「・・・ベッドで に決まってるでしょ」
・・・わかってる。
恐ろしいのは、鞭よりも。
こうなるともう、人を効果的に支配するには恐怖より甘言なんじゃないか、なんて思い始めてしまう僕はコレ、進歩なのか? 調教?
目の前に飴をぶら下げられ、覚悟を決めないままに刮目して相待つ。
じりじりと詰め寄ってくるのは、濃い黄色を挟んだ惑溺の指先。
柚子湯ってこんなにアブナイもんだったか?
2008/01/17
(柚子皮で遊ぶ先輩)
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