オレの云うことをよく聞いて理解するのは、やっぱりお前、良く出来るんだねぇ。
「せんせ・・・・おね・・・が・・・ぁい・・・」
なぁんて、喘ぎながらおねがいされたんじゃなぁ。
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(え・・・ え? あ、あ痛い痛いィーーー ね、痛いセンセ、痛いいたい、痛いってば! もう、痛い!ばか!! もうやだぁ・・・無理・・・ 大体何よ、アレ。医療の修行でもちろん見たことはあるけど、あんなになるなんて聞いてない・・・ちょっとグロいわね・・・ な、なんかもうほんとやだぁ・・・ 泣きそう・・・)
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浅くつながったまま身動きせずに、すっきりと広い額を撫でてやる。
目をゆるく瞑り、呼気は静かだが震えていた。
その様子を見て、心がすこしだけ後悔の声をあげる。
自分の施す不可逆の事実が小さな存在に苦痛を与えているのだ。
コイビト同士ではないが、かといって金で買った関係でもない。
どちらかといえばこれは、慈しみ育む関係。 愛情だってないわけじゃない。
部下であり仲間であった少女の苦痛は少しでも寛げばいいと、単純に思った。
だから、オマエを壊していくような行為の中で、この瞬間だけでも守ってやりたいなんて馬鹿げたことを。
「サクラ・・・ キス、しようか。」
閉じたまぶたがぴくと揺れたが返事を待たず、すこしつやの残る柔らかな唇に自分の唇を押し当てる。
きつく眼を瞑って、逃げるようにあごを引くから、追ってまたその口を塞ぐ。
斜めに押し付けるようにして唇を割り、舌を這わせた。
何の意味ももたないキスじゃない。 そんな逃げないでヨ。
聞こえるのは、ちゅう とか くちゅ とか 犯す舌の性急さとはおよそ似つかわしくない甘ったるい音ばかり。
サクラの口から苦しげに漏れる息も、押し殺したように甘く聞こえた。
その呻きを聞いて、凶暴なやさしさがまた、じわり。
口を咬ませたまますっぽりと体を抱き込み、膝を進める。
欲が頭をもたげた。
早く、早くもっと深く奥までねじ込みたかった。
だから
弱い力が胸を押し返してきたときには、いっそ混乱したんだろう。
思わず眉を顰め、「何。」と云い放った声はひどく冷たかったかもしれない。
「カカシせんせ・・・、ちょっと・・・ すこし・・・まって」
その瞬間は平静を失った。
身体が冷える。
それは、キスのこと?
それとも、もうこれ以上無理ってこと?
どっちにしても、もう今更、聞いてやれる望みじゃあないみたいだ。