(unmixed mistake)











弱音を吐いた。

キツいのは、身体なのか、心なのか。

そんなことも朦朧とする、蕩けるような快楽。

どんなに辛くてもがんばるのが好きな、くのいちの私なのに。

今は、甘えて。

普通の女の子でいなさいよって云うから。

そうあれと望まれた気がして、自分もそうしてもいいかななんて思ってしまった。

経験したことの無い密着感と空気が、判断を誤らせたとしか云いようが無い。

後悔することになると思った。

そして、後悔している。




私は、今、犯されている。







――――――







云われた言葉に煽られた。

怒りでもなく、戯れでもない。

すこしも待てないし止まれない、ただの本能。


深く舌を差し入れ唇を全て喰らうようにして、離さない。

ただの唇を合わせるという行為に手前勝手に乗せた、守ってやるなんていう陳腐な意味合いを見抜かれたようで、ひどく辱じた。

身体の裏側が灼熱の感覚に支配される。

上へ逃げようとする小さな身体を捕まえて、寝台と背の間に腕を差し入れ、力を込めて抱き締める。 これは拘束だ。

じたばたともがく手足など折れてしまえば好いと思った。

息継ぎの音はひどく苦しげに、いっそオレを責めているようで。 

どこかで遣る瀬無い気持ちが募る。

しかし力任せに貪った後には、もう唇を離しても口をつぐむことはなかった。

かわりにぽかりと開いたそこから漏れる小さな声は震え、目尻からはたぶん涙がこぼれていた。

わからない。あえて確認することなど嫌だった。


儚げにふくらむ唇をあらためて吸い、舌を差し入れ、歯列をなぞる。

やさしくした。 したかった。

きつく抱くから、空気すら入る隙はないほどに。

注意深くしなければいけなかったのに。


いつのまにかオレはサクラの柔らかい部分を抉って、これ以上無いくらいにきつく入り込んでいた。

破瓜の瞬間には可憐な声をあげたかもしれない。

それすら耳に入らないほどに、オレは。



ゆっくりと出入りすれば、わずかに立ち昇る血液の匂い。

ぬめる感触にすがって壊れても構わないとばかりに穿てば、肉に響く粘液の音だけがあたたかい。

抱いた身体は血も通ってないほどに動かなかった。

心拍に合わせて震える濃紅色の先端を、指で捻り上げて歯を立てる。

びくりと背を反らせて咽喉を晒したから、口から出た音は滑稽なほど苦痛に満ちていた。

ゆっくりとサクラが目を開ける気配。

細くかすれた声でオレの名を呼んだ表情は、いつものように。

いつものように必ず、微笑んでいれば好いとおもった。






でも、それは、そうじゃなかった。




オレは、まちがいを。

後悔と懺悔に任せたまま、でもせめて縋る安心が欲しくてまだ温かい口と身体を犯し続ける。

それでも与えられる強引な快楽に耐えて泣くようなサクラの喘ぎ。

その喘ぎの切なさに耐えかねるオレの息は荒くなるばかりで、もう、ゴメン、どうしようもない。




それとも何か、他に出来ることはあるって云うのか?






(続)        














2007/07/31

(違う向きを向いたまま)


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