(おきまり その1)













「また怪我かしら」

 筋骨たくましい脚とスネ毛、濃紅の爪のアンバランスに目を奪われていた。
 大蛇丸の声に我に返り、ヤマトははっと顔を上げる。

「ハイ・・・や、いや、今日は、・・・今日は、ちょっと・・・体調がすぐれないというか・・・」
「いつから?」
「ここんとこ、わりと・・・ずっと・・・ハイ・・・」

 再び顔を伏せ、言いよどむ。

「・・・そうなの」
「・・・ハイ・・・」

 緩やかに、事務椅子にもたれるように腰掛けていた大蛇丸が身じろいだ。
 白衣の合わせが深く裂け、組み替えた脚の奥、きわどい位置までがヤマトの目に飛び込んでくる。
 あわてて目を背けたが、如何せん刺激が強すぎた。いろいろな意味で。
 視線は着地点を見失い、宙を泳ぐ。

「アラ・・・そんなに緊張することないわ。ここには私たちしかいないし」

 や、緊張とかじゃなくて。やばいマジそれやばい やばいっス。

 心の声と、臓器的な何かが思わず口から飛び出しそうになる。衝撃映像だ。
 名の通りにショッキングなピンク色と、透け透けレースが見えたのは断じて錯覚ではない。

「で、どんなふうなのかしら。症状は?」

 何事もないように大蛇丸は続けた。

「え・・・、ええと、ハイ、動悸というか・・・脈がおかしいような、それに、ハイ、なんか心臓がこう、ぐっと・・・押し潰されるような・・・」

(なんだよそのレース・・・!)

「ほかには?」
「あとは、日中、ボーっとしてしまう、というか・・・ハイ」

(スカートが短いなぁ)

「夜更かししてるんじゃないの?」
「ハイ・・・いや、夜更かし・・・というか、考えごとして・・・寝られなかったり」

(ていうかなぜスカートかっていうそもそも論)

「気になることがあるのかしら」
「気に・・・なるというか・・・ハイ、・・・ならないといえばウソになるというか・・・」

(それでもあれは 女物のぱんてー だ ぱんてー!)


「そう・・・わかったわ。 じゃ、脱いでもらおうかしら」
「ハイ・・・え、ハイィィ?」

(ぱんてーー!  って、ハイィィィィ??)





すべてが、想定の範囲外。
なぜ、そうなる・・・?!









2008/06/19



(性春盛りは気もそぞろ)




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